研究事例

水酸化

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下水汚泥も効率良く分解します

下水の汚泥にはさまざまな有機物が含まれているため、そのまま廃棄することは環境汚染の大きな問題となります。また、焼却するには膨大なエネルギーが必要になります。 下水の濃縮汚泥を、酸化剤としての過酸化水素を加えた370~650℃、22~26MPaの超臨界水中で酸化すると、汚泥中の有機物は5~10分という短時間でほぼ完全に水と二酸化炭素に分解します。また、残る固形分はほとんど無害の灰分で容易に沈降するため、液体から分離できます。

超臨界水酸化処理で製紙廃棄物を完全に分解

パルプ製造工程から発生するパルプ有機汚泥水を、650℃、23.6MPaのオートクレーブで1分間処理し、次にオートクレーブの温度を室温まで下げる方法で、有機物はほぼ100%分解します。
この時の処理済み液はpH5.6であるため、直接放流しても問題の無いレベルとなります。

トランス絶縁油中のPCBを無害化

PCBを含むトランス用絶縁油を、苛性ソーダなどのアルカリ触媒を含む380〜450℃、30MPaの超臨界水で、20〜100分間反応させた後冷却します。
この方法では絶縁油には何らの熱劣化も起きず、PCBのみが完全に脱塩素化されることによりビフェニール・フェノール・低分子量化合物などに分解されます。
なお装置を腐食する恐れがある塩化水素は苛性ソーダにより中和されて食塩となります。

超臨界水でフロンも完全に分解

オゾン層破壊で問題になっているフロンは分解しにくい物質の一つです。
PCBやダイオキシンなどの有機塩素化合物と同様に、フロンは380℃以上の超臨界水中で分解が進み、圧カの上昇と共に反応速度が上昇します。
この際に苛性ソーダを添加して反応を行うと反応が促進され、また発生するハロゲン化水素を中和してソーダ塩となるため、装置の腐食が避けられます。

超臨界水でTNT火薬の処理

374℃以上、22MPa以上の塩基性の超臨界水でTNT火薬を加水分解すると芳香環まで分解されます。
さらに酸素を導入することによりアンモニア・窒素ガス・二酸化炭素・NOxまでに加水分解が進みます。 NOxは更に酸化されるため、排気の問題もありません。

超臨界水酸化で写真現像廃液などを完全に分解

写真現像廃液は大量に発生しますが、ハイドロキノンなどいろいろな有害物の混在するため、無害化して廃棄するのが困難な物の一つです。
写真現像廃液やアンモニア廃液等のアルカリ性廃液を600〜650℃、25MPaの超臨界条件で処理すると、水酸化により短時間で効率良く分解され、完全に無害化されます。

使用済みイオン交換樹脂を完全に分解して廃棄

火力発電所や原子力発電所では、水の浄化のために大量のイオン交換樹脂を使用していますが、使用済みのイオン交換樹脂は難分解性で廃棄処分が問題になっています。
このイオン交換樹脂を、酸化剤としての酸素などを含む400℃、30MPaの超臨界水で80分処理を行うと、94%という高い分解率で加水分解を行うことができます。