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分解

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混合廃プラスチックの油化

ポリ塩化ビニル・テフロン・PET等の混合廃プラスチックを酸素又は空気を含む超臨界水で処理して減圧し、再加熱及び冷却するとスチレン溶液・塩酸・浮遊物としてポリエチレン・沈殿物としてフタル酸・テレフタル酸等が回収されます。
このように超臨界水を用いるとハロゲンを含むプラスチックやPETなどの油化に適さないプラスチックからでも油状物質を回収し、低級な油分は燃料、高品質油や他の物質はそれぞれ化学原料として利用することが出来ます。

オイルサンドから軽質油を精製

オイルサンドは世界的に埋蔵量が多く、石油に次ぐ貴重な炭化水素資源ですが、改質や精製が困難なため十分に活用されていません。
オイルサンドや石油プラント残滓から得られる粘度の高い重質油を、300〜500℃という高温の超臨界水で処理することにより、コークスなどができずに、効率良く粘度の低い軽質油に変えることができます。

産集廃棄物などから油を作る

重質油、古タイヤ、廃プラスチックなどの高分子化合物を超臨界水で処理すると、水素供与反応より低分子量化合物に変わります。
例えば、ポリエチレン樹脂と水を1:10で混合し、420℃、20MPaの条件下で90分反応させると、コークスを発生することなく、パラフィン系、オレフィン系の炭化水素を主成分とする油状生成物が得られます。

PETボトルのリサイクル

PETは、加水分解によりテレフタル酸とエチレングリコールができます。
PETに水を加え、超臨界で処理することで、短時間でしかも添加剤や中和剤を必要としないで分解できるので、再びこれを新たなPETの原料として使うことができます。

複合プラスチックのリサイクル

食品包装材料などに使われているナイロンとポリエチレンを張り合わせたフィルムは、はがすことも接着剤を溶かしてバラバラにすることもできません。
シュレッダーにかけたこのフィルムを水と高温高圧化で反応させると、ナイロンはモノマーに分解されて水に溶け、ポリエチレンは固体として残るためそれぞれを分離回収することができます。

ダイオキシンの無害化

超臨界水の中では、有機物も酸素も水と均一に混ざりあい、迅速な反応が可能になります。
これを利用してPCBやダイオキシンのような有害な有機物を分解することができます。
600〜650℃、25MPaといった環境では、酸素と有機物が完全に溶解しているので酸化分解のほかに加水分解、熱分解も同時に起こり、普通は分解できないものも水・二酸化炭素・塩化水素・亜硝酸など容易に処理できる物質に分解されます。