
超臨界水
水の臨界点374℃、22.1MPa以上の状態で、水分子の動きが激しく、気体分子と同様の大きな運動エネルギーを持ち、かつ、液体に匹敵する高い密度を兼ね備えた非常にアクティブなものです。
亜臨界水
水の臨界点より温度や圧力を少し緩和した領域で、条件を適度に選ぶことにより反応や分解の程度を調節することができます。
加圧熱水(液体状態の熱水、HCW:Hot-compressed-water)
厳密な定義はないものの、通常、熱水100~200℃付近、かつ、飽和水蒸気圧より高圧の領域の特徴として利用できます。
加圧熱水~亜臨界水は、温度上昇とともに水のイオン積(Kw)が増大し、250℃で室温の約1000倍のイオン濃度(H+とOH–)になるため、酸・アルカリ触媒の役割を果たします。
超臨界水は、イオン積が急激に低下し、逆に有機物や酸素をよく溶かすようになるため、非常に効率的な酸化・分解が起こります。

超臨界水 Supercritical water(H2O)
超臨界水は、「液体」と「気体」の両方の性質を持っており、反応において重要なパラメータである電気伝導率やイオン積などが大幅に変動し、水そのものが酸や塩基の作用を示し、有機物は良く溶けるが無機物は殆ど溶けない(油は混ざるが食塩は溶けない)といった、通常の水とは全く異なる性質を示します。非常に高い温度で熱分解と加水分解が同時に、かつ、急速に起こるため、従来の触媒や酸塩基を添加せずに殆どの有機物は水や二酸化炭素、窒素などに分解します。
<物性比較>
| 特性 | 気相 (水蒸気) |
超臨界相 (超臨界水) |
液相 (水) |
引用:荒井康彦監修, 超臨界流体の全て, 2002 |
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| 密度[kg/m³] | 1 | 100~1000 | 1000 | ||
| 粘度[mPa·s] | 0.01 | 0.1 | 1 | ||
| 拡散係数[m²/s] | 10⁻⁵ | 10⁻⁷~10⁻⁸ | <10⁻⁹ | ||
| 熱伝導度[W/mK] | 10⁻³ | 10⁻³~10⁻¹ | 10⁻¹ |
| このような超臨界水の特徴を利用して、以下のことができます。
・廃棄物処理・再資源化(超臨界水酸化・ガス化) 有機廃棄物の処理:廃プラスチック、食品廃棄物、下水汚泥、放射性廃棄物などの有機廃棄物を短時間で分解・無害化、 有害物質分解、無毒化:PCBやダイオキシンなどの難分解性有機塩素化合物の分解 ・リサイクル・再資源化 電子基板・複合廃棄物処理:有機物を分解・除去し、金属やガラスなどの無機物を効率的に分離・回収 炭素資源の燃料化:石炭やバイオマスから水素や燃料ガスを製造 ・化学・材料合成(水熱合成) ナノ粒子合成:金属ナノ粒子(金属酸化物)を均一、迅速、かつ連続的に合成 有機合成・改質:有機原料からのアルコール合成や、ポリマーの機能化 |
事例)PCBやダイオキシンなどのように格別に安定とされる化合物の分解、無毒化が知られてます。


亜臨界水 Sub-critical water、加圧熱水 Hot-compressed water
亜臨界水は、超臨界水と同じく温度や圧力でイオン積や電気伝導率が変動し、通常では起こり得ない反応が進みます。
この方法で、植物材料の選択分解や低分子化の分子量調整、有機無機素材の変性等が行われます。
| 加圧熱水~亜臨界水の用途・応用
・食品・化粧品分野(有用成分の抽出・高機能化) 有機溶剤(アルコールなど)を使わず、水だけで油分や機能性成分を取りさせるのが最大メリット 具体的には、機能性成分の抽出、調味料の製造、食品加工など ・農業・環境分野(リサイクル・肥料化) バイオマス・廃棄物の加水分解:有機ゴミから糖やアミノ酸を回収(液体・有機成分の分離) 医療廃棄物の殺菌処理など ・エネルギー・工業分野(燃料化・材料回収) 石油に代わるエネルギー源や、貴重な材料の回収に利用されます。 具体的には、粉末燃料の製造、プラスチックのリサイクル、排水処理など |
事例)有機廃棄物の再資源化として、焼酎廃液や鶏糞などを水中で酸化分解して、水やガスを自然に戻す技術が知られています。


